東大寺二月堂のお水取りの由来は?神宮寺お水送りの歴史をひもとく
2021/01/26
奈良東大寺のニ月堂のお水取りは毎年3月1日から2週間にわたって行われています。
天平勝宝4年(752)、東大寺開山良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が創始されたといわれます。
以来、平成27年(2015)には1264回になりました。
この法会は、現在では3月1日から2週間にわたって行われています。
しかしもともと旧暦の2月1日から行われていたので、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」と呼ばれるようになりました。
また二月堂の名もこのことに由来しているようです。
それから二月堂の前には若狭井という井戸があります。
3月12日深夜(13日の午前1時半頃)には、「お水取り」が行われます。
二月堂の前の若狭井(わかさい)から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式です。
では、この二月堂のお水取りのお香水(おこうずい)はどこからくる水でしょうか?
歴史をひもといてみましょう!
二月堂のお水取りの水は何処からくるの?
奈良東大寺の二月堂のお水取りはとても有名です。
誰もが知っています。
テレビでも毎年放送されます。
ではそのお水取りのお水はいったいどこから来ているのか?
気になりませんか?
ここでは、いったい二月堂若狭井に湧き出す水はどこからきているのか?
何故東大寺に送られることになったのかについて伝説をみてみたいと思います。
二月堂の若狭井の水は若狭(現在の福井県小浜市)遠敷(おにゅう)の鵜の瀬から行くと言われています。
毎年3月2日に鵜の瀬の約2キロ下流の神宮寺でお水送りの送水神事がおこなわれます。
午前11時に下根来八幡宮での山八神事でスタートします。
午後1時に神宮寺境内で弓打ち神事が行われ、午後5時半ごろに白装束の僧侶らがほら貝を吹きながら入場します。
午後6時から修二会の行があり、それが終わると境内に設けられた大護摩壇を中心に法弓大事などの行を奉じ大きく燃え上がる大護摩法要を行います。
そして、いよいよ7時半に松明(たいまつ)行列がはじまります。
神宮寺から山伏姿の行者や白装束の僧侶らを先頭に3,000人程の松明行列が、ほら貝の音とともに2km上流の鵜の瀬へ向かいます。
河原で護摩が焚かれた後、白装束の住職が祝詞を読み上げ、竹筒からお香水(こうずい)を遠敷川へ注ぎます。
このお香水は10日かけて東大寺・二月堂の「若狭井」に届くといわれています。
奈良のお水取りは3月12日に行われます。
鵜の瀬で行われる送水神事の動画をお借りしました。
若狭から神水を送ることになった理由は?
西暦710年、奈良に平城京が造られ、東大寺において国家を挙げての盛大な大仏開眼供養が行われました。
若狭ゆかりの「良弁(ろうべん)僧正」が、その初代別当(開祖)と言われています。
良弁和尚は689年小浜下根来で生れましたが、子供の時に鷲にさらわれ、東大寺前身の奈良金鐘寺で育てられたということです。
また、お水取りを始めた印度僧実忠は良弁の弟子です。
若狭神宮寺に渡ってきたインド僧「実忠(じっちゅう)」は、その後東大寺に二月堂を建立します。そして大仏開眼の二ヶ月前から(旧暦二月)天下世界の安穏を願い、14日間の「祈りの行法」を始められたそうです。
実忠和尚は「神名(しんめい)帳」を読み上げられ、日本中の神々を招かれ行の加護と成就を請われたのです。
ところが、若狭の「遠敷(おにゅう)明神」だけが漁に夢中になり、遅れてしまったそうです。
3月12日、修二会もあと二日で終わるという日の夜中に現れました。
遠敷明神はお詫びとして、二月堂のご本尊にお供えする「閼伽水(あかすい)」(清浄聖水)を献じられる約束をされました。
そしてお祈りをされると、白と黒の二羽の鵜が飛び出て穴から清水が湧き出したそうです。
若狭の根来(ねごり)白石の川淵より地下を潜って水を導かせたと伝えられています。
.
この湧水の場所は「若狭井」と名付けられ、川淵は「鵜之瀬(うのせ)」と呼ばれるようになりました。
こうして古来より若狭と奈良は地下で結ばれていると信じられてきました。
東大寺と若狭は本当に地下水が通じているかも?
面白い記事を見つけました。
いままで若狭の鵜の瀬から東大寺二月堂の若狭井に10日かけてお神水が届くという話を楽しい昔話と思っていました。
ところがこの話はまんざらうそではないようなのです。
こんな記事を見つけました。
福井県小浜市から奈良の東大寺までは、直線距離でおよそ90キロ近くある。
最近になって、京都盆地の地下には豊富な地下水脈があり、おおよそ北東から南西方向に流れ、桂・宇治・木津の三川合流地点付近を通過して大阪平野に向かって流出していること、また近年の電磁探査調査でも京都盆地には琵琶湖の2/3に匹敵する地底湖が存在していることが指摘されていることを知った。
(京都大学防災研究所年報 第52号B 平成21年6月)。そうであれば、鵜の瀬の川水が地底を流れて東大寺に通じているという話は、あながち絵空事ではないかもしれないと思うようになった。
だが、地下水脈は地表の川とは比べものにならないほどゆっくり流れるそうだ。
東大寺二月堂で3月12日の深夜行われる「お水取り」に先だって、10日前の3月2日、小浜市の若狭神宮寺と鵜の瀬では、「お水送り」の神事が行われる。
だが、鵜の瀬で遠敷川に注がれた香水がわずか10日間で東大寺まで達するとは、とても思えない。
小浜と奈良で行われる地下水脈で結ばれた神事より
http://www.bell.jp/pancho/k_diary-6/2012_09_07
ともかく子供のころから昔話として聞き、お水送りも何度か見てきましたが、今後はまた違った趣でみることでしょう。
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神宮寺までのアクセス
JR東小浜駅から徒歩30分
舞鶴若狭自動車道小浜ICから車で12分
問い合わせ 神宮寺 ℡ 0770-56-1911
おわりに
奈良東大寺二月堂の若狭井で3月12日に若狭の鵜の瀬から送られたお神水が汲まれ供えられます。
天平勝宝4年(752)から連綿と続けられてきた神事です。
毎年2月中旬になると、地元の遠敷小学校の六年生は送水神事に使われる大松明を作ります。
松明作りは、地域の伝統行事への参加と、卒業前の思い出作りを目的に毎年実施されています。
地元の人の指導で出来上がった松明には児童ひとりひとりが、それぞれの願い事を書きこみます。
そしてお水送り当日の3月2日夕刻、神宮寺から鵜の瀬までの約2キロの松明行列に参加します。
それにしても、今回奈良に水を送るという事が絵空事ではないかもしれないという記事を本当に興味深く読みました。
今度のお水送りはいっそう趣深いものになるでしょう。
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